Calibre, Calibre-Webに限らず電子書籍管理システムについて回る問題がある。それは補助ファイルの扱い。
自分は語学関係の書籍をたくさん持っているが,その性格から音声ファイルなど補助ファイルが提供されていることが多い。PDFにメディアを埋め込めることは可能だが,それが扱えるPDFエディタ,再生できるPDFビューワが少ない。有用であることは間違いないが普遍性があるとは言い難い。なにより,そんなのをいちいち手作業でやっていては体が持たない。
さて,こういった補助ファイルを,Calibreは限定的に “data files” という形でサポートしている。 “Add data files to selected book records” メニューアイテムを選ぶ(下図)。
ファイル選択のダイアログが開くが(下図),電子書籍のファイルだけが見えるようにフィルタが設定されており,これには .zip などは含まれていない。そのため,お目当てのファイルが見つからず混乱しがち。“All files (*.*)” にフィルタを変更してお目当てのファイルが見えるようにする。
が,この補助ファイルにCalibre-Webは現状対応していない。作者に実装するつもりはあるようだが,それがいつになるかはわからない。
しかしこれはもっと本質的な問題を提示している。語学書に音声ファイルが用意されている場合を考える。その本を読みながら関係する音声ファイルを再生する,ということはもちろんするだろうが,その一方,音声ファイルだけを再生し,必要があれば本の該当ページを見る,ということもあるはずだ。以下がわかる。
- 本と音声ファイルは別々にも自由に利用できる必要がある。音声ファイルであれば自分で作成したプレイリストで再生する,など。従来からの,本の方が主で音声ファイルが従,という考え方は当てはまらない。
- 本の箇所とそれに対応する間のリンクは保たれていて双方向に自由に辿れる必要がある
昨今書籍をアプリ化して提供するということが盛んに行われていて,若い人たちは書籍よりもそちらを好むようだ。伝統的書籍に比べて,アプリならではの動的な作業ができることが多い。単語集であれば,フラッシュカード的ドリルができる,など。
それは確かに紙の書籍にないメリットではあるのは間違いないが,アプリ作成者が用意したことしかできない。自分独自のやり方は実現しようがない。書籍にまたがったことも当然できない。